膠原病
膠原病
主に涙や唾液を作っている組織に炎症を起こす疾患で、ドライアイやドライマウスを主症状とします。原因は不明ですが40〜60歳台の女性に発症しやすいといわれています。乾燥症が主体となりますが、全身倦怠感、関節痛、皮疹、血液検査異常を伴うことがあります。
また頻度は少ないですが、間質性肺炎、神経障害、腎障害、筋症状、なども生じることがあります。現状、根本的な治療法は確立されておらず、ドライアイに対しては点眼薬や涙点プラグなどの局所治療、ドライマウスに対しては内服薬やうがい薬、唾液腺マッサージなども行われます。
全身の様々な臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患で、関節、皮膚、腎臓、神経などを中心に症状が現れます。原因は不明で、20〜40歳台の女性に発症しやすいとされています。発熱、全身倦怠感などの全身症状、関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎など多彩な症状がみられます。
最も特徴的なのは蝶形紅斑と呼ばれる両側の頬部と鼻に広がる皮疹です。治療は重症度によって異なりますが、ループス腎炎と呼ばれる腎臓の障害や神経精神症状などを認める場合には、入院加療が必要となります。
自己免疫疾患の一つであり、筋肉や皮膚、肺を中心に全身に炎症が生じる病気です。皮膚症状がみられる場合、皮膚筋炎、皮膚症状を伴わない場合を多発性筋炎と呼びます。筋力の低下、筋肉痛、特徴的な皮疹が生じます。その他、全身倦怠感・関節痛・発熱を伴うことが多いです。
また、悪性腫瘍を合併する頻度が高いことが知られており、注意が必要です。治療の第一選択はステロイド治療で、肺病変が急速に進行すると考えられる場合は早期から免疫抑制薬を併用します。
皮膚や全身の様々な内臓(食道・消化管・肺・心臓など)が徐々に硬くなる変化(線維化)や、手足の先端の血行が悪くなる変化(末梢循環障害)を生じる病気です。現状、根本的な治療法は確立されていませんが、皮膚硬化や肺病変が急速に進行する場合、免疫抑制療薬が使用される場合があります。
また、心臓病変である肺高血圧症を合併した場合には、肺血管拡張薬による治療が必要になります。最も頻度の高い手指や足趾の血流障害については、重症度に応じて様々な末梢循環改善薬を使用します。
全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、全身性強皮症の症状や検査所見が混在している疾患で、血液検査で抗U1-RNP抗体が高値になる特徴があります。圧倒的に女性に多く、比較的若い年齢層が中心です。手指や足趾の血流障害、または手指、手背の腫脹に加えて、部分的にSLEの紅斑や関節炎、全身性強皮症の皮膚硬化や肺線維症、多発性筋炎の症状を併せ持ちます。
それぞれの症状は比較的軽いという特徴がありますが、5~10%に肺高血圧症を合併することが知られており、定期的な心臓超音波検査が必要です。
ベーチェット病では、再発性の口内炎を高率に認めます。その他、陰部潰瘍、皮膚病変(有痛性の紅斑やニキビ様の皮疹など)、眼病変(ぶどう膜炎など)が主症状として知られており、これら全ての症状を認める場合を完全型ベーチェット、一部の場合を不全型ベーチェットと呼びます。
また、関節炎、消化管潰瘍、神経障害、血管障害(動脈瘤や静脈血栓症など)を認めることがあり、その病状は多彩です。従って、複数の検査結果をもとに総合的に診断します。HLA-B51という遺伝子を持つ人で発症頻度が高いことが知られており、診断の補助として遺伝子検査をおこなうこともあります。
血管炎症候群(高安病、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎など)とは、自己免疫異常により、全身の血管に炎症が起こることで、さまざまな臓器障害を引き起こす疾患です。大型血管に炎症をおこす高安病、中型血管に炎症を起こす結節性多発動脈炎、小血管に炎症を起こすANCA関連血管炎などが知られています。
障害される血管の大きさによって、起こってくる症状や臓器障害も多彩であり、血液検査だけでなく、画像検査や尿検査などを用いた全身の評価が必要となります。高容量のステロイド治療が必要になる場合が多く、発症時には入院加療が考慮されます。
成人スティル病は、関節炎・発疹・発熱・リンパ節の腫れなどを主な症状とする全身性の炎症疾患です。一般的な感染症と共通する症状を多く認めることから、診断に時間がかかるケースも多く、特徴的な皮疹などから診断を疑うことが重要です。
ステロイド治療に良く反応しますが、難治例では免疫抑制薬や生物学的製剤の併用が必要となります。通常、血液検査では白血球数の上昇が見られますが、重大な合併症として血球貪食症候群があり、合併した場合には急激な血球減少を認めるため、注意が必要です
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