慢性の内科疾患
慢性の内科疾患
会社の健康診断や家庭用の血圧計などで、一度は血圧を測定したことがあるのではないでしょうか。しかし、血圧計に表示される数値を見てもどのような意味があるのかよくわからない方も多いと思います。血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押し出す力のことです。
高血圧とは、血圧が一定以上高い状態のことをいいます。そして、高血圧患者は、日本全国で約4,300万人いる(引用:高血圧治療ガイドライン2019)といわれており、国民の約3人に1人が高血圧で、まさに国民病といっても過言ではありません。
高血圧は、自覚症状もなく進行し、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などの恐ろしい病気を引き起こす危険があります。しかし、早期に高血圧の治療を始めることで、そのような病気になるリスクを減らすことができます。健康診断で血圧が高いといわれた方、心当たりが少しでもある方はお気軽に当院へお越しください。
脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態をいいます。悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールや血液中の中性脂肪が必要以上に増えたり、あるいは善玉コレステロールであるHDLコレステロールが減ったりする病態です。これらの脂質異常はいずれも、動脈硬化の促進と関連します。血液中にLDLコレステロールが増えると、血管の内壁が傷つき沈着してこぶを作り、血管が硬くなります。これが動脈硬化です。
中性脂肪も過剰になると、血管の健康が損なわれます。一方、HDLコレステロールは、色々な臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を抑える方向に作用します。つまり、動脈硬化の予防や改善にはLDLコレステロールと中性脂肪を減らし、善玉のHDLコレステロールを増やすことが重要になります。脂質異常症は、それだけではとくに症状が現れることはありませんが、気がつかないうちに血管が傷つけられ、静かに動脈硬化が進行し、脳や心臓の疾患につながるおそれがあります。
脂質異常症の主な原因は、食生活(肥満・カロリー過多)や過度な飲酒、喫煙、運動不足などが考えられます。治療は通常、食事療法と運動療法からはじめます。薬物療法は、これらを行っても脂質管理の目標値が達成できなかったり、持っている危険因子が多く、動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高かったりする場合に開始されます。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が正常範囲を超えて高くなる病気です。糖尿病は主に1型糖尿病、2型糖尿病に分けられますが、日本人では2型糖尿病が圧倒的に多く、その発症にはインスリンの分泌不足といった要因に加え、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係しているといわれています。
糖尿病は初期症状が乏しく、目立った症状が現れることなく進行することが多い病気です。口渇(のどが渇く)、多飲(のどが渇くために水分を多く摂る)、多尿(尿の量が増える)、体重減少といった自覚症状が現れたころには、ある程度進行してしまっていることもあります。さらに、病気が進むと三大合併症と呼ばれる糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を発症して、末期には失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります。
また、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性も高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切なのです。糖尿病の診断は、症状の有無、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値、血糖値などを総合的にみて診断していきます。糖尿病の予防、あるいは進行を遅らせるためには、生活習慣を見直すことが大切です。
当院では患者様のライフスタイルに合わせた生活指導や、個々の患者様に適した薬物療法を選択することで、糖尿病があっても合併症に悩まされることのないようサポートしていきます。また、インスリン療法などより専門的な治療が必要な場合には速やかに専門の医療機関へご紹介します。
喘息の本態は、気管支(気道)の粘膜に起こる慢性的な炎症です。炎症が強くなることで、気管支の内径が収縮して細くなったり、粘膜がむくんだり、また分泌物が多くなってしまった結果、空気の通り道が狭くなって呼吸が苦しくなる状態が喘息発作です。気道が高度に狭窄することで喘鳴や呼吸困難などの症状が引き起こされます。
また、喘息発作を繰り返すことで気管支の壁が分厚く変化することを気管支のリモデリングと言います。この状態まで進行すると慢性的な息苦しさを認めるようになるだけでなく、薬物で症状を十分コントロールすることが困難になってしまいます。
したがって、喘息の治療においては発作時の症状を緩和する薬だけでなく、発作を予防するための薬を併せて使用することが重要です。当院では呼吸機能検査も行っています。
日本人の平均閉経年齢は、45〜55歳ごろにあたり、閉経前後の5年間を更年期と呼びます。この期間に現れるさまざまな症状のうち、他の病気での症状ではないものを更年期症状といいます。さらに、その中でも症状が重く、日常生活に支障をきたすものを更年期障害といいます。
更年期障害の発症には、女性ホルモン(エストロゲン)の低下、また年齢に伴う体の変化と精神的・心理的な要因、社会文化的な環境因子が複合的に影響していると考えられています。よく知られている症状としてのぼせ、異常発汗、イライラしやすくなるなどの気分変調がありますが、実は関節痛もかなりの頻度でみられます。
当院では関節痛をきたす疾患を幅広く診療しておりますので、他の疾患を適切に除外し、更年期障害による関節痛についても積極的に治療を行っています。
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