関節リウマチとは

関節リウマチとは、本来は体を守るために働く免疫系に異常が起こり、正常な細胞などを攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。関節の滑膜という部位に炎症が生じ、こわばり、痛み、腫れなどの症状が現われます。進行すると関節の骨や軟骨が破壊され、変形による機能障害をきたすようになります。

免疫に異常が起こる原因ははっきりわかっていませんが、遺伝的要因や感染した微生物（ウイルスや細菌）の影響、そのほか喫煙、歯周病などの環境要因の関与が指摘されています。免疫系に異常が起こると、関節の毛細血管が増加し血管内から関節の滑膜組織にリンパ球やマクロファージなどといわれる炎症を起こす細胞が出現します。

これらが産生するサイトカイン（TNFα、IL-6など）と呼ばれる物質の作用により、関節内に炎症反応が起こり、滑膜細胞が増殖して、痛みや腫れが起こります。さらに関節液が増加していくと、破骨細胞も増殖して過剰に活性するため、軟骨や骨の破壊が進んでいきます。

日本での関節リウマチの有病率は0.6～1.0％とされており、決して稀な疾患ではありません。男性よりも女性に多い傾向があり、好発年齢は４0～６0代とされていますが、近年は診断技術の向上などにより、男性で早期に発見されるケースも増えています。また、高齢で発症するケースも増加しています。

関節リウマチは、以前は完治の難しい疾患でしたが、新しい薬や治療法の登場により、その治療は劇的に進歩しています。早期の診断と抗リウマチ薬を中心とした適切な治療によって、疾患の活動性をしっかり抑えることが可能となり、その結果、関節の炎症がほとんどない状態をめざせるようになっています。リウマチは早期発見・早期治療がとても重要な病気です。関節に気になる症状がありましたら、早めの受診をお願いします。

このような症状がある方はご相談ください

• 節々の関節が痛い
• 朝起きると手がこわばった感じがする
• 関節の違和感と同時に、倦怠感や微熱が続いている
• 指の変形が気になる
• 家族にリウマチの人がいて、自分も同じような症状がでてきた
• 肩や手が痛いけど、更年期による症状なのか判断がつかない
• 健康診断でリウマチ因子（RF）や抗核抗体（ANA）が高いといわれた

当院でのリウマチに対する取り組みについて

リウマチ専門医による適切な評価・治療を行います

リウマチは評価がとても大事な病気です。診断や病状の評価は、その後の治療の方針や薬の選択に大きく関わります。そのため、曖昧な判断で治療は進めることは望ましくありません。

日々の生活に関する問診、触診による腫れの状態評価、複数の項目の血液検査、レントゲンやエコーによる画像検査など、多方面からの検査結果を総合的に判断することが必要です。当院ではリウマチ専門医2名での診療を行っており、いつでも必要なときに過不足なく検査を行いながら、治療をすすめていくことができます。

リウマチ病勢評価シートを活用しています

ご自身のリウマチの状態を、患者さんにもわかりやすく理解していただけるよう、リウマチ病勢評価シートを作成し診療に役立てています。

これまで行った検査の結果を定期的にシートまとめることで、健康診断の結果をみるように、現在のリウマチの病勢を把握することができます。病気に対する理解を深めながら、患者さんと一緒に今後の治療を考えていけるように努めています。

関節エコーでの評価を行っています

関節エコーは関節の中で起こっている炎症をリアルタイムにみることが可能です。触診や血液検査ではわからない早期の炎症を捉えることが可能であり、早期診断に有効な検査です。また、治療を開始した後や、薬を変更した後の効果測定にも役立ちます。当院医師はリウマチ学会登録ソノグラファーであり、エコー検査をご希望の際は、いつでも検査が可能です。